一般社団法人紫波町観光交流協会

松嶋山江岸寺　(しょうとうざんこうがんじ)（曹洞宗）

　江岸寺は、慶長１０年(1605)に栃内与兵衛氏の招請に応じた花巻市大迫町内川目の桂林寺三世梵玖（ぼんきゅう）和尚により開山しました。
　当時は北上川近くの栃内館の地続きにありましたが、たびたび洪水の被害を受けたため、寛政年間(1789～1801)に現在地に移りました。その後、火災に遭い再建。現在のものは安政４年(1857)に建てられました。
　本尊は釈迦如来座像(寺宝)で、６世祥雲仙瑞和尚のとき南部重信公側室の沢(栃内金左衛直清の娘)が、両親の供養のため寄進されました。頭部は烏瑟賦沙（うしにしゃ）、白毫珠（びゃくごうしゅ）は白色の珠が外からはめこまれており、納衣は通肩で法界定印の結跏趺坐（けっかふざ）のすばらしいものです。
　もう一つの寺宝、鉄製五具足（花立・香炉）は、文久３年(1863)に栃内吉弥氏が寄進されたものです。また、八代栃内逢吉氏は兵法の大家で、謙信流兵学の道統を継ぎ、数々の著述を遺しています。開基である栃内家のゆかりの人々の中には、教育者や軍人など多く輩出しました。
　境内地には稲荷大明神・蒼前社(馬頭観音)・宇部森神社があり、信仰の場として地域の人々が相い寄り、毎年旧盆の２０日には部落をあげて祭りをしてきました。山門脇には、南部力士の鉱（あらがね）岩五郎の碑がありますが、大へんな力持ちであったと言い伝えられています。